教員紹介
2021年6月24日
猪野明生講師と長崎大学松木佑介准教授らの研究グループは、銀行合併の審査にあたり金融の不安定性と市場競争の両者への影響を考慮した分析フレームワークを開発しました。
近年、銀行が合併する際に同一地域の銀行同士であれば独占禁止法を適応しない特例法が施行されるなど、銀行合併を促進する政策が取られています。銀行の数が少なくなることで競争が維持されず、サービスの低下が副作用として懸念されています。
本研究では銀行合併について、合併により銀行経営が効率化し結果として金融市場が安定化する効果と、銀行の数が減ることにより競争が減ってしまうことの効果の両者を取り入れた分析フレームワークを構築しました。2009年の米国におけるウェルズ・ファーゴとワコビアの合併事例に適応した結果、金融市場の安定化の正の効果のほうが競争減の負の効果よりも大きく、社会的厚生は合併により高まることが明らかになりました。
本研究成果は、TCER Working Paper Series(2020年7月)に掲載されました。