教員紹介

都市農業によるアクセス改善効果を解明―食の砂漠における農のオアシスへの期待―

2021年5月26日

 池島祥文准教授は、フードデザート(食の砂漠)と呼ばれる買い物が不便な地域において、農産物直売所を利用することで、地域住民、とりわけ、高齢者に対して食料品へのアクセス事情を改善させる効果があることを明らかにしました。

 近年、都市構造や貧困の影響によって、先進国では食料品へのアクセスが悪化したフードデザート(食の砂漠)と呼ばれる地域が増えてきており、日本では、特に、過疎地域や郊外における食料店舗の減少や高齢化によって、食料品の買い物すら難しくなる「買い物難民」の問題として社会問題化してきています。

 本研究では、日本の大都市横浜においても、高齢者を中心に食料店舗へのアクセスが悪化したフードデザートが発生していることを明らかにしました。さらに、そうした買い物が不便な地域に居住する高齢者にとって、都市農地に隣接する農産物直売所を利用することによって、遠くのスーパー等まで移動しなくても容易に新鮮な食料品を入手できる効果(アグリオアシス効果)が得られる点を定量的に示しました。

 本研究成果は、国際学術誌「The International Journal of Sociology of Agriculture and Food」(2019年1月)のオンライン版に掲載されました。

図:食料品店舗が近くにない地域(白エリア)おいて、直売所を利用するとアクセスが改善される地域(水色エリア)とそこに含まれる建物(赤色)を示すマップ。
図:食料品店舗が近くにない地域(白エリア)おいて、直売所を利用するとアクセスが改善される地域(水色エリア)とそこに含まれる建物(赤色)を示すマップ。

書誌情報

Ikejima, Yoshifumi (2019) Measuring Elderly People’s Food Access in Urban Food Environments: The Potential Benefits of Urban Agriculture. The International Journal of Sociology of Agriculture and Food, 25(1): 21-41.新しいウィンドウが開きます

研究者情報
池島 祥文:研究者総覧新しいウィンドウが開きます