教員紹介

本社部門の活動が地域経済に与える影響を分析

2021年5月26日

須原菜摘博士課程学生と居城琢国際社会科学研究院教授は、現代の経済活動で特に重要視される本社機能活動を明示したうえで、本社機能が特に集中する東京と関東地域との地域間関係を分析しました。

本社機能活動が集積する東京は、国内他地域に配置された支社や工場などの直接的な生産現場活動を統括するかたちで利益が集中する構造にあります。しかしながら、こうした本社機能を通じた東京と日本の他地域との関係、特に本社機能とそれ以外の経済活動も含めた地域経済に与える影響の関係の解明はまだ途上にあります。

このメカニズムを定量的に捉えるために、本研究では産業連関分析を行いました。産業連関表は、直接的な生産現場活動の中間財として本社サービスを捉えることに適しています。本社機能活動は、本社が配置された東京と支社や工場が配置された国内他地域との地域間取引が中心となるため、東京都産業連関表では東京都とその他地域の2地域間表として本社部門が計上されています。その他地域に含まれる各地域の本社機能活動は不透明であるため、本社機能活動が特に集中している関東地域において、各地域内表の本社部門の推計と分析を試みました。この結果、東京は本社部門の移出によって関東地域の神奈川、埼玉、千葉、茨城から下図のように大きな波及効果を得ていることを定量的し示すことができました。

本研究成果は、「産業連関」(2019年8月)に掲載されました。

図:各地域本社の移出による誘発効果からみた地域間関係(須原・居城(2019) )
図:各地域本社の移出による誘発効果からみた地域間関係(須原・居城(2019) )

書誌情報

須原菜摘・居城琢(2019)「本社機能活動の移出誘発効果からみた関東地域内の集中構造:2011年関東地域の各地域内産業連関表における本社部門の推計と分析」『産業連関』27(1)、26-38。
DOI https://doi.org/10.11107/papaios.27.1_26新しいウィンドウが開きます
研究者情報
居城琢:研究者総覧新しいウィンドウが開きます