教員紹介

望ましいマッチングの達成方法:安定的定員調整プロセスの開発

2021年5月31日

 熊野太郎准教授は慶應義塾大学の栗野盛光教授との共同研究で、定員調整を可能にしたマッチング問題を提起し、社会的に望ましい性質を達成するマッチングを発見する安定的定員調整プロセスという便利なアルゴリズムを開発しました。

 マッチング理論は、人と人、人と物、物と物を「お金の介在なし」にどのようにマッチさせるかを分析する学問です。身の回りの実に多くの場面においてマッチング問題は存在しています。研修医インターン制度、学校選択、臓器移植などではマッチング理論の研究結果が実際に応用されています。

近年、マッチング理論は著しく発展し、学術結果が現実社会に浸透し改善を促してきましたが、一方で、実際に応用される社会の側からも様々な要求が提起されるようになりました。その一つに定員制約の柔軟な対応があります。これは、学校における人種のバランスを考慮することや、地域の医師配置のバランスを考慮することです。

 本研究では、定員制約に対して定員をうまく調整し「社会的に望ましい性質」を満たすマッチングを見つけ出すアルゴリズムを開発しました。この理論結果は、既にマッチング理論が応用されている状況を改善し、また新しくマッチング理論を応用展開する場面を増やすことになるでしょう。ある国立大学では、この新しいアルゴリズムを導入、運用することを検討しており、栗野教授と熊野准教授は導入に関する助言やプログラム開発に参加しています。

本研究成果は、現在国際雑誌に投稿準備中です。

研究者情報
熊野 太郎:研究者総覧新しいウィンドウが開きます