教育
2025年12月1日に、経済学部DSEPの産官学金連携プログラムである「課外型データ分析演習」の成果報告会を実施しました。研修に際しては、以下の6社の皆様のご協力のもと、計10名の学生を受け入れて頂きました。
ご協力いただいた企業・団体一覧(敬称略、順不同)
成果報告会は、各企業における5日間のプログラムを終えた学生が、研修内容を一人ずつ発表するプレゼンテーション形式で行いました。成果報告会の詳細に先立ち、まずは実習を終えた学生たちの声を抜粋して紹介します。それぞれ異なる課題解決に対して、何を学び、どのような壁に直面したのかについて述べています。
私は相鉄ビジネスサービス株式会社さんで実習させていただきました。実習では、ゆめが丘ソラトスにおいて、特定の店舗を利用した場合、同時に利用されやすくなる店舗の組み合わせを分析することで、売上向上に繋がる施策を得ることを目的としました。分析には、相鉄ポイント会員におけるゆめが丘ソラトスの購買データを用いました。
ファミリー層が利用する可能性が高い店舗の分析をした後、買い回りの原因について合理的な説明が難しかった店舗に注目しました。分析を進めると、当該店舗に近い店舗が多かったため、買い回りの発生しやすさは店舗の距離が大きな影響を与えると考えました。それをもとに新たな分析を行い、クーポン配布等短期的に取り入れやすい施策から、店舗の配置変更等中長期的な施策まで提案しました。
実習では、大学の講義ではできないような経験をさせていただきました。朝伺ったらまず、前回までの進捗や、行き詰っていること、考えていることを報告し、アドバイスをいただきました。また、終了時間の1時間前にも同様のことを行いました。このなかで、自分では考えなかった視点を提案いただけたり、施策の提案については消費者の視点を持つことが重要だと気付くことができたりしました。大学の演習では、他者の意見を聞く機会は多くありませんでした。そのため、実務ではデータ分析チーム全体で意見交換をしているということが新鮮であり、この経験は将来に繋がるものとなったと感じます。
反省点としては、今回の分析では母集団と標本の関係についての理解が足りないと感じました。ショッピングモールを利用する人全員がポイントカード会員であるとは限りません。今回の分析中に、ポイントカード会員のデータを母集団とみなしてよいのか、という疑問を抱きました。しかし事前の学習不足と時間に余裕もなく、母集団と考えて施策を考えるしかありませんでした。大学の講義で扱った内容を復習をして、理解してから実習に臨めばよかったと考えています。
報告会では、実習先の企業の業界によって、分析対象がかなり異なり、どれも新鮮で興味深い内容でした。しかし分析過程の大枠は一致しており、分析に重要なことは業界によって異ならないと感じました。分析と解釈の時間配分や、座学ではなかった障壁などを、他の学生の発表から知り、学べることが多くありました。
座学と実務の違いを体感した実習となりました。今後、大学の講義でも実務で求められることを意識しながら学びたいと思います。来年度以降実習に臨む方は、貴重な機会を学びに最大限に活かし、実りある実習となることを心から願っております。
私は今回、浜銀総合研究所様にて5日間のインターンに参加させていただきました。
参加するきっかけとなったのは、これまでDSEPで培った統計・データ分析の知識を用いて挑戦したいと思ったことです。未経験の試みだったため不安もありましたが、新たな視点を得られると考え、挑戦を決めました。
実際の取り組みとしては、とある地方銀行の個人営業戦略強化というテーマに対し、業界分析から課題整理、顧客データに基づくセグメンテーション分析まで、5日間で一気通貫して実施しました。中でも印象的だったのは、データ分析の正確さだけでなく、現場で実行可能な施策に落とし込むことの難しさでした。最終日のプレゼンに向けて資料を完成させた時は、達成感と同時に「本当にこの提案でクライアントを動かせるだろうか」という緊張感がありました。最終的には、注力すべき2つの重要セグメントを特定し、各セグメントの特性に応じた具体的な施策を提案しました。
本演習を通じて、データサイエンティストに「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」が求められると感じ、今後はその3つの観点から自身のスキルを体系的に整理し、プロジェクト経験を積み重ねていきたいと考えています。
最後にこのような貴重な機会を提供してくださった浜銀総合研究所様をはじめ、受け入れ企業の皆様に深く感謝しております。ありがとうございました!
私は企業の経営課題に対してデータ分析による解決策の提案を行う研修に参加しました。具体的には、カードローンのデフォルトを減らすための処置として、因果関係を明らかにし、その効果を推定する分析を行いました。社会で観測されるデータは関係性を特定することが難しく、理論の実証としての分析よりも仮説が自由に立てられるために、分析方針を立てることや結果を解釈するために時間を割くことが要求されるように感じられました。そして、データの統計的性質について理想的な仮定が成立しない場合が多く、単純な回帰モデルであっても解釈の付与に慎重になるため、統計モデルへの深い理解も必要でした。
また成果報告会では、現場とのすり合わせをはじめとした、データ分析の周辺にある背景を理解することが重要であるという学びが多くに共通していました。それらはデータを眺めるだけでなく、専門知識や現場とのコミュニケーションを通じることでデータのみの知見よりも深い示唆を得ることに繋がっています。社会で観察されるデータをより理解するため、近代経済学・ファイナンスといった理論への理解を深めるとともに、データへの具体的アプローチとして統計学・計量経済学を学んでいくことの必要性を改めて確認する機会となりました。
こうした個々の貴重な体験を持ち寄り、参加した学生全体で知見を共有したのが、今回の成果報告会です。成果報告会では、どの学生も自分の日常的な経験と大学での学修で得た知見を高度に融合させ、オリジナリティのある分析を行っていたことが印象的でした。データ分析においては、分析の対象とするデータが異なっていたとしても、基本的な分析手法自体が激変することはなく、基本的な手法とその組み合わせに収斂します。しかしながら、課題の発見に関しては少なからず、分析者の知識や経験の差異によって、多少なりとも属人的になります。今回の報告会においても、そのような学生ひとり一人の鋭い課題設定が行われており、その課題解決と提案までを高いレベルで完遂できていたことに大変驚きました。
学生たちの報告からは、教室での学びが社会でどう機能しているかを肌で感じた様子が伝わってきました。この経験は、今後の専門学習やキャリア形成において大きな糧となるはずです。ご協力いただいた受入企業の皆様に、厚く御礼申し上げます。
経済学部4年 学生広報サポーター